問いの立て方

こんな人にオススメ!
・自分の主張をなかなか理解して頂けない方
・「主張をする」ことが求められる職業に就いている方

 

「問題はなにか?」と常に考えてみよう!

今回は自分の主張の説得力を少し高める方法をお伝えします。「結局なにが言いたいの?」と言われることが多い方のお役に立てれば幸いです。

やり方は単純で、「この人はなにを問題に思っているのか」、「そのために、どういう伝え方をしているか」と考える癖を付けるだけです。そういった癖を付けることで、問題認識の能力が高まり、主張の説得力も高まってきます。主張とは、問題認識と提案の両方の精度が求められているのです。

悪い意味での「口が上手い政治家」と言われる人たちは、提案の精度は高くても、問題認識が弱いため、共感のできない提案だけが一人歩きをしてしまい、そのように言われるのかも知れません。とくに、地域に根ざす地方議員の方たちは、この点を意識し、地域を良い方向に変えて頂けると幸いです。

※このブログでは、主張を「『問題意識』に基づいた『提案』」と捉え説明しています。

今回のポイント!
いくら主張をしても、「確かにこの問題はどうにかしなければいけないな!」と思って頂けない限り、ものごとは進んでいきません。そこで、なにかを見たときに、「この人はなにを問題に思っているのか」、「そのために、どういう伝え方をしているか」ということを考える癖を付けることをオススメしています。主張の精度を高めるということは、提案の精度を磨くことはもちろんですが、そもそもの問題認識にまで目を向ける必要があります。

 

「問いの立て方」を意識して、問題認識の精度を高めよう!

私は大学院時代、「地域活性化に関する」論文が書けず悩んだ時期があります。文章を書いても書いても、次のようなことを言われ続けました。

「風間君が書きたいことは分かるけど、だからなんなの?と思ってしまうよ」

「確かにそうなんだけど・・・」

「全体の説明は分かりやすく、優等生な感じがするけど、深みがないね」

そういった悩んでいる姿を見た研究室の先輩が、「『問いの立て方』勉強会」という自主ゼミを1週間に1度開いて下さいました。

やり方は、単純で、毎回テーマの論文を次の項目を意識して読み込み、議論をするだけです。

  1. 筆者はなにを問題に思ってこの論文を書いたか(問題意識の理解)
  2. その問題をどのように解決しようとしているのか(新発見/独自性の理解)
  3. 「1→2」の流れが適切かどうかの検討(批判的検討)
  4. この論文をもっと良くするにはどうすれば良いかの意見出し(改善点の提案)

何回か会を行ううちに、自分が論文を書けなかった原因は「問題認識の力が足りない」ということに気がつきました。

やはり、良いと思った論文は、問題認識が的確で、「確かにこの問題はどうにかしなければいけないな!」と思わせてくれます。一方、???と思うような論文は「本当にそれは問題なのか?改善をする必要があるのか?」と思ってしまいます。初めにそう思ってしまうと、その後の提案などは取って付けたような印象を受けてしまいます。

自分が、「風間君が書きたいことは分かるけど、だからなんなの?と思ってしまうよ」と言われ続けたことも、そこに原因があったのかと、腑に落ちたことを覚えています。

それからは、「活性化は本当に必要なのか?誰が困るのか?このままだとなにがいけないのか?そもそも活性化とはなんなのか?地域活性化の地域とはどこまでか?」と、自分が問題だと認識していたことを、さらに深掘りをしていきました。その結果、論文を無事書き終わることができ、優の評価を頂くこともできました。

ちなみに、知り合いのブドウ農家の方が、「おいしいブドウを作る人の畑は、畑を見るだけで作り手の主張が分かる。どういう育て方をしたいのかが、すっと頭に入ってくる」と言っていました。

良い主張は、「確かにこの問題はどうにかしなければいけないな!」と思わせてくれる

問題意識を持ち、なんらかの提案をしたとしても、それを受け入れて頂けないと、やる気もそがれてしまいます。それは、もったいないことでもあります。

ただ、その問題意識が、「確かにこの問題はどうにかしなければいけないな!」という深みのあるものになっているかは、問題提起をする側もきちんと考えなければいけません。主張をするときは、提案の精度を磨くことに目が行きがちですが、主張の説得力を高めるということは、そもそもの問題認識にまで目を向ける必要があるのです。

そこで、新聞の記事を見たとき、本を読んだとき、論文を読んだときなどに、「この人はなにを問題に思っているのか」、「そのために、どういう伝え方をしているか」を考える癖を付けてみて下さい。少しずつですが、自分の情報発信の主張の説得力も高まってくるかと思います。