昨日、「特殊技能を持たない自分の役割や存在意義とは?~「自分がいなくても事業が回っていく」と感じたとき~ 」というブログを書きました。

そのブログを書いていて、このある意味自分の存在感が薄れていく感じと事業が大きくなる感じのトレードオフの関係の中でどのように立ち振る舞うかは、多くの人にとってもなにかを成し遂げるときに意識すべき大切なポイントのように思いました。

そのため、その点について今日は書きたいと思います。とくに田舎など人間関係でビジネスが動く場所では良くあることだと思います。実際に田舎でビジネスをしている自分の実体験なので参考にしていただけたらと思います。

「俺はおまえのためにあれだけ動いたのに、何もしてくれないのか?」という状況になる理由

人は、自分の存在意義とその対価や評価に敏感です。

たとえば、いろいろな経営者を見ていると、「自分を通して事業を進めろ」という感じて事業に自分を絡めようという意識が強い方や、自分の強みをブラックボックス化してしまう方も多いです。1人の力が強大でそれでビジネスが回るのであればそれも1つの選択ですが、一歩間違えれば「その人を通さなければ進まない」という状況はビジネスの癌にもなりえます。

一方、「自分を通して事業を進めろ」という人の気持ちも分かります。それはそういう風に言えるレベルで何かしらの協力をしており、そのままではただ働きになってしまうからです。とくにその人の協力が大きくても、活動が順調になるとその人の協力のありがたみは相対的に低く感じてしまうものです。そのため、なにかしら協力をしてもらったときには、こちらもリターンを用意しなければいけません。

具体例で説明します。

事業当初、販路に悩んでいたとします。そして、販路探しを一緒にしながら、今後どのような販路を見つけていったら良いかを一緒に考えてくれた方がいたとします。そのサポートを事業を進める上で80%の貢献度があったとします。しかし、最初は大きな収益がでませんでした。サポートはそこまででした。なんとか1つの販路を見つけられたことは、そのときの状況においてはとても大切なことでした。

その後、実際に商品を販売しながら試行錯誤を重ね、多くの販路が見つかり、ビジネスがうまく回り始め、大きな収益が出ました。そのときにはその方のサポートは必要ではなくなっていた訳です。そして、自分の中では、自分自身で試行錯誤を頑張った成果で販路が広がったという自負がありました。

しかし、そういった状況下において、コミュニケーションが上手く取れていない場合、極論を記すと「収益に対して80%の何かしらの還元をしろ。最初のサポートがなかったからそもそも事業が進まなかった訳だから」というようなことを言われてしまう訳です。

これは極論ですが、このように一人一人の存在感が、事業フェーズにより相対的に薄れ、納得のいかない評価がされてしまうと、互いに軋轢を残してしまうことがあるということです。

おそらく、「自分を通して事業を進めろ」と強く言う人は、関わった活動に対しての上手い対価設定をできていないため、その部分に固執することが多いのかなと思います。

活動への対価や恩返しをどのように行うか

とくに、日本では知的労働の対価が払われづらい状況があります。そのため、一緒に戦略を考えたり、人を紹介するような活動を価値換算できずになあなあに終わってしまうことも多いです。そのため、軋轢が残ってしまいます。しかし、田舎やニッチな領域のビジネスでは人間関係でことが進んでしまうことも多いため、この辺の感覚を上手くマネジメントすることが大切です。

振り返ると自分もそういったことをしてしまっていたり、されたことがあるように思います。とくに自分は得々三文会という朝会を山梨で5年間280回行っていたため、発表者や参加者を紹介して欲しいという依頼も多いです。そして、つなぐために動き、その人たちがビジネスを行うこともあります。けれども、その後のことが分からないことも多いです。

最初は、「自分が動いた意味はなんだったのか?」と怒りにも似た感情が出たことがありました。しかし、今では、「なにか動きがあったら、面白そうなので数字を含めた情報だけは下さいね~」で終わらせています。面白そうな活動は見ていてもそれだけで楽しいですし、数字を含めた判断材料があれば自分のなりの提案もできるので、そのときに自分が必要とされていれば、そこはビジネスとして関われば良いと思っています。もし、必要とされていなかったら無理に関わらなくても互いのために良いと思っています。

新しい動きやその情報はそれだけで価値があります。そして、その価値を自分自身でどう活かすかという状況を作れればそれで良いかと最近では思っています。こう考えるようになってから、気持ちが楽になりました。あわせて、自分の事業に関わって下さっている方へどのようなリターンをしなければいけないのかということも考えるようになりました。

もちろん、自分も知的労働を行うサービス業なので、知的作業に関しては、互いに納得をした上で、お金を払うことを心がけています。しかし、先が不確定で、互いに試行錯誤することが良いと判断した場合は、「今は、お金は払えません。ただ、協力はとてもありがたいです。どのように、こちらは恩を返せば良いですか?」と必ず聞くようにしています。そこで納得ができれば、それは約束ですので死守します。そして、そこで納得ができなかったら、一緒に活動をしなければ良いだけだと思います。

「自分を通して事業を進めろ」と言う方は周りにいませんか?もしいるとしたら、なぜそのように言うのかを考えると、自分が行うべきことも見えてくると思います。