新版 キーワード 地域社会学

役に立つ地域社会学

今回は、地域の状況をしっかりと理解し、質の高い地域活性化活動、または、まちづくりができるように、『新版 キーワード 地域社会学』という本について書きたいと思います。議員だけでなく、まちづくりを行う人にも役立つ内容となっています。

今回のポイント!
地域社会学で登場する用語を頭に入れておくと、「どのような問題が地域で起こっているか」、「どういった視点から議論がされてきたか」、「どのような解決策、あるいは、進行中の事例があるか」という、これまでにアカデミックな世界で行われてきた、議論の蓄積を現場に活用することができる。

 

地域社会学は情報の宝庫!?

議員:「あれ、なんだっけ?郊外の方に広がっていく現象・・・」

風間:「都市が無秩序に拡大する、スプロール現象ですね!」

という感じで、用語が分からないと、情報を調べる術がありません。

議員:「人口が減ったり、税収も減ったりしたらどうなるんだろう??」

風間:「『縮小社会』という言葉はご存じですか?そこでそういった議論はかなりされているので、見てみると面白いですよ!」

しかし、頭のなかに用語の知識があると、端的に欲しい情報が手に入るようになります。

私は、地域の問題を議論する人に対して、地域社会学を学ぶことをおすすめしています。なぜなら、地域の諸問題の議論が蓄積されているからです。

たとえば、近年、地域社会学の中では、「縮小社会」という言葉の議論がされるようになってきました。「縮小社会」とは、財政や人口の縮小における社会を指す語であり、「人口や財政が縮小する中、地域をどのようにデザインしていくのか」という議論が盛んに行われています。この議論は、とても大変参考になります。

そこで、今回は、『新版 キーワード 地域社会学』という 1冊の本を紹介します。この本にはたくさんの地域に関する用語が入っています。「イエ/ムラ論」、「住民運動論」というアカデミックさを感じるものから、「町内会」「集落再生(農村再生)」といった身近に感じるような用語もあります。「町内会」がどのように議論をされてきて、今後どうなっていくのか?気になる方は見て下さいね。笑

アカデミックと、地域の現場は離れているという印象を持つ人がいるかも知れません。確かに、現場で起きていることを、一般化して論文で発表をするまでに時差があることもあります。加えて、「論文が現場で活用されている例なんて見たことがない!」なんて方も多いかもしれません。

しかし、反対や賛成というどちらかの立場ではなく、客観的に現場に入り、まとめられてきた情報や知見は、「どのような問題が地域で起こっているか」、「どういった視点から議論がされてきたか」、「どのような解決策、あるいは、進行中の事例があるか」といったことを教えてくれます。現場でも非常に役に立つものだと、私は実感しています。

キーワード(集落再生、農村再生)

『新版 キーワード 地域社会学』を見てみよう!

それを踏まえた上で、『新版 キーワード 地域社会学』に載っている、用語を検索したり、地域社会学の論文を見たりしてみて下さい。きっと、みなさんの抱えている地域の課題がより分かりやすく把握できるようになるでしょう。

「地域社会学の用語を覚え、議論されている部分を押さえた上で地域に向き合うと、活動の質は飛躍的に高まる」と私は思います。なかなか近寄ることのないアカデミックな世界ですが、「知らなかっただけで、実は意外と役に立つ」ということを、体感して頂けると、地域社会学を学んでいた自分としても嬉しいです。

※参考
書名:新版 キーワード 地域社会学
著者:地域社会学会
出版社:ハーベスト社
発売日: 2011 年
価格: 3132 円