まちと個店のまちづくり

こんな人にオススメ!
・まちづくり、地域活性化に関わっている方
・まちづくりの政策を考えている議員の方
・まちづくりに関わっている個店の方

 

「まちが潤うと、個店が潤う」、「個店が潤うと、まちが潤う」という2つの視点

今回は、まちづくりをどういう視点から考えていくかという点を書きたいと思います。私は、アカデミックな立場でマクロ的にまちづくりを見たり、商店街にある老舗書店の執行役員になり、個店の視点からミクロ的にまちづくりを見てきました。その中で、「まちが潤うと、個店が潤う」、「個店が潤うと、まちが潤う」という2つのお視点からまちづくりについて書きたいと思います。

今回のポイント!
まちづくりを考えるときに、「1.まちが潤うと、個店が潤う」、「2.個店が潤うと、まちが潤う」という2つの流れで議論がかみ合わないことが多い。どちらも大切なことであるため、両方の視点があることを踏まえ、まちづくりを進めていくことが大切である。

 

断片的に語られがちなまちづくり

以前、まちづくりについて思うことを、山梨県立大学の学長や理事の方たちの前で話をさせて頂く機会がありました。

風間:「まちづくりや、地域活性化はやらないよりはやった方が良いという論調があります。そこに少しの危惧があります」

理事:「どういうことですか?」

風間:「『まちに住んでいるのだから、なんであなたは地域活動に関わらないのか?』と、個店の店主がまちづくり活動に引っ張り出されることも多いです」

理事:「まちが良くなれば、個店も潤うのではないですか?」

風間:「ただ、個店には個店の生活があります。個店が潤うことの延長線上にまちが潤うという論理で動かないと難しい場合もあります」

といった議論をした記憶があります。

たとえば、無料駐車場に関する議論があったとします。これはまちにとっても大切な話です。そのため、いつ駐車場ができるか分からないにも関わらず、個店の店主はその会議への出席を迫られます。しかし、先が見えない会議に時間を費やすのならば、自分のお店のことを考えていた方が良いと思う感情も働きます。不景気な時代だからこそなおさらです。ただ、「まちに住んでいるのだから、なんであなたは地域活動に関わらないのか?」という声が聞こえてくることもあります。

駐車場の議論は大切で、それが上手くいくことで、まちに人があふれ、個店も潤うかも知れません。しかし、駐車場は関係なく個店の日々の努力で固定客が増え、その結果、まちに人があふれるかも知れません。このように、どちらが正しいかはケースバイケースだと思います。そして、結果的に、まちも個店も潤うという点では同じです。

しかし、「1.まちが潤うと、個店が潤う」、「2.個店が潤うと、まちが潤う」という断片的に切り取られた部分で議論が進むことも多いです。それでは、互いに不満が残ることもあります。両者はらせん状に絡まっており、常に互いのことを考えることが必要だと感じます。

断片的に語られがちなまちづくり

個店の立場からまちづくりを見てみる

まちづくりは素晴らしいことで、参加することに価値があると思っている人は多いと思います。しかし、場合によっては、関わることで本業の妨げが起こってしまうことがあることも理解しなければならないと思います。感覚的なものですが、まちづくりはマクロ的に進められ、個店の生活にフォーカスされることはあまり多くないように思います。まち全体のことを話す場で個店のことを話すと、利益誘導と捉えられてしまうような、言いづらい雰囲気があるのかも知れません。これは、書店の執行役員になったときにそう感じました。

そのため、

・まちづくりと個店の関係を上手く整理すること
・まちづくりの中に本業につながる明確な仕組みを組み込むこと

を意識して、まちづくりや地域活性化を議論することが大切だと感じています。その結果、まちも個店も潤うまちづくりが可能になると思います。

すぐにできること!
まちづくりや地域活性化活動に関わっている方は、個店の立場になり、個店がどのように活動に関わることになるかをシミュレーションしてみましょう!