- こんな人にオススメ!
- ・ワークショップや勉強会を開催している方
・地域の問題を探している議員や研究者
KJ法を使って、実際に成果を出そう!
今回はワークショップや勉強会で出されるアウトプット(成果物)の質を高める方法を、良く使用されるKJ法に注目して説明をしていきます。最下部に文章化のコツに関する記述を追記しましたのであわせてご覧ください。
KJ法とは、文化人類学者の川喜田二郎氏が考案した、情報を整理し、そこから発想を生み出していく方法です。様々な会議やワークショップで使用されている一方で、その魅力をすべて引き出すためには、KJ法のことを知ることが大切です。
「たくさんの参加者の多様な意見が聞けて、新しい気づきがありました!」という自己満足だけで終わることなく、実際に良い成果が出るようにするにはどうすれば良いかを書いていきます。
- 今回のポイント!
- KJ法はグルーピングなどをすることから「整理法」と言われることが多いが、実際は、「発想法」である。グルーピングをする図解化はA型、A型で仕上がったものを叙述化(文章化)することがB型であり、B型まで行うと、より精度の高いアイデアが出てくる。
KJ法は、気をつけないと中途半端に終ってしまう
最近、様々な立場の人たちを集め、まちづくりに関するワークショップや勉強会が開かれることが多くなってきました。そして、KJ法を使用し、次のような構成で進む会が多いように思います。
1.参加者がそれぞれ感じているまちの問題点をポストイット(付箋)に書く
2.大きな紙などに貼りつけ、似ているものをグルーピングし、問題の構造を理解する
3.そこから解決策を考える
しかし、次のような言葉が出て終わってしまうことも多いです。
「たくさんの参加者の多様な意見が聞けて、新しい気づきがありました!」
「KJ法は整理法なんですね!」
ワークショップの目的をどこに置くかという運営者の判断で、それでも良い場合もあるかも知れません。しかし、連続講義のように、次回までに時間の余裕がある場合は、B型まで行う必要があると私は思います。それがアウトプットの質を高めると考えます。
実はKJ法にはA型とB型があります。出し合った意見の図解化をするところがA型、B型はA型で図解化されたものを文章に落とし込んでいきます。ワークショップなどで行われているKJ法はA型までの簡易バージョンであることが多く、KJ法は整理法というイメージを持たれることが多いと思います。
ちなみに、川喜田二郎氏はKJ法に関する書籍を書いていますが、タイトルは「整理法」ではなく、「発想法」です。
B型まで実践し、多様な知恵を形にする
一方、B型は、実際に行ってみると分かるのですが、非常に面倒くさい作業になります。ただ、文章化をすることで、自然と下記のことを考えます。
・図解したものの論理構成はあっているか
・それらの関係を立証するためにはどういうデータが必要か
そうなると、ワークショップの盛り上がりや、口の上手い参加者のトークに引っ張られて作られてしまった図解の矛盾点に気がつきます。そして、文章がうまくつながるためにはどうすれば良いかと考えるようになり、論理を構成するために必要なデータや修正をするべき場所が見えてきます。ここまで行うと、A型で作ったものがさらに緻密化されていき、次にやるべきことが見えてくるのです。
昨日のブログで書きましたが、「文章にできないことは、分かっていないということ」だと思います。A型だけで終わってしまうと、集約されたものが、ワークショップの参加者にしか分からない単なる情報の集まりで終わってしまう可能性があります。
しかし、誰もが理解できるように文章化されることで、情報が整理、洗練され、多様な参加者の知恵が形になるのだと思います。
「たくさんの参加者の多様な意見が聞けて、新しい気づきがありました!」という感想が、「たくさんの参加者の多様な意見によって、問題点が分かり、次に何をしたら良いのかが明確になりました。だから、僕はこういうことがやりたいです!」と、アイデアが沸き上がってくるようになれば、KJ法を行う意味が今以上に高まると思います。
そして、川喜田二郎氏が「発想法」という名前で書籍を出した意味を体感できるのではないでしょうか。
- すぐにできること!
- 「KJ法」を使用するときは、図式化だけでなく、それを文章化するB型まで行ってみましょう!
追記(平成28年11月30日(水))
下記2つの記事をあわせて読んで頂くと文章化がしやすいと思います。参考程度にご覧ください。
「想いはあふれてくるのに、文章が書けない・・・」という方に贈る、省エネで文章を書くコツ~接続詞と文末表現に着目して~
良い文章はメモの取り方で決まる!?~文章を書く前にできる、苦手意識を取り除くちょっとしたコツ~