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ここ数年、プロジェクトの連携などについて契約書の作成に関わることが増えてきました。

契約書の作成は、記載内容を決める過程で、事業の様々な展開パターンやリスクについて考えることができます。そのため、事業のより深い理解につながるため、自分は好きな作業です。

そこで、今回は、契約書作成の経験から備忘録的に意識した方が良い2つのポイントを記します。

・契約書を見返すときは関係が悪くなったときだ(重箱の隅まで考える視点)
・そもそも信頼関係が維持できていれば契約書を見返すことは少ない(最低限の譲れない線を考える視点)

※今回は、なにかを一緒に行う場合に交わす契約書をイメージしています
※あくまでも備忘録です。最後の仕上げは弁護士からチェックを入れてもらったり、作成してもらうなど専門家の判断を頂くことをおすすめします

契約書を見返すときは関係が悪くなったときだ

「契約書を見返すときは関係が悪くなったときだ」

これは以前、専門家の方からアドバイスを頂いた言葉です。確かに、契約書をもとに議論をすることになるときは、なにか問題が発生したときです。そのため、様々な事業リスクを考え、それらに対する決まりを自分たちが不利にならないように記述していかなければなりません。契約書を単なる儀式のように捉えていたり、なあなあに作ると後で痛い目を見るのはこのためです。

契約書は最悪な状況のときに見返すものだという意識を持つことが必要です。

そもそも信頼関係が維持できていれば契約書を見返すことは少ない

しかし、自分たちに有利な項目を連ねすぎたり、重箱の隅をつつくような細かいことに関して記述をしすぎるのも問題です。というのは、なにかを一緒に行っていくためには、信頼が必要だからです。そのときに、不信感が漂う契約書を見せられたら、そもそも契約が結ばれなくなります。

そのため、「ここだけは譲れない!」という最低限の基準について意識しながら、契約書以外の部分で、どのように信頼を維持しながら事業を続けられるかをイメージすることも大切だと思います。

契約書を作る過程で、互いに理解しあうことが大切

これまで、下記の両者の目線で作成していくことが大切だと書いてきました。

・契約書を見返すときは関係が悪くなったときだ(重箱の隅まで考える視点)
・そもそも信頼関係が維持できていれば契約書を見返すことは少ない(最低限の譲れない線を考える視点)

しかし、一見矛盾するような気もします。ただ、ここで大切なことは、両者の視点を持って、事業そのものを広く深く見直すことです。そして、そこまで考えることができたら、相手とのすりあわせをすることです。

相手あっての契約書です。すりあわせ作業の中で、相手が大切にしていることを理解しながら、自分の大切にしていることを伝えていき、契約書作成の過程で信頼が醸成できれば良いと思います。一方、もし、この時点ですりあわせができないような相手であれば、契約書を結ばなければ良いかと思います。すりあわせを嫌がるような相手と不確定要素の大きい事業をしていくことはリスクです。

このように、契約書を単なる儀式的なものと考えず、すり合わせまでを大切な過程だと捉えると、事業自体も良いものになると思います。