仕事道楽スタジオジブリの現場

こんな人にオススメ!
・選挙をマネジメントする立場にある方
・プロデュサーとして、ものごとを仕切っている方
・チームビルディングに興味のある方

 

プロデュサーの役割とは何か?

今回は、選挙対策本部(選対)を切り盛りさせて頂いた実体験をもとに、選対の雰囲気を良い状態で保つコツをお伝えします。とくに、「選挙を手伝って欲しい!」と候補から頼まれ、候補と近い位置にいる方向けに書いていきたいと思います。

最近、ジブリでプロデュサーつとめている、鈴木敏夫著、『仕事道楽 新版――スタジオジブリの現場』を読み、「はっ!」とさせられた部分がありました。鈴木氏のプロデュサーとしての仕事は、「候補≒監督」と捉えると学ぶところが多いと思います。

そこで、本書から、選挙に役立つ点を数回にわたって、役に立つと感じた部分を記していきたいと思います。

今回のポイント!
映画監督は孤独な作業を強いられるため、プロデュサーで大切なことは、監督の味方になることだと、鈴木氏は高畑勲氏との会話で納得をしています。選挙時の候補も孤独を強いられます。仲間たちが集まり心強いと感じる反面、批判にもさらされるため、矛盾するようですが「自分は本当に理解されているのだろうか?」と孤独にもさらされます。そのため、候補の近くにいる方は、候補を信じ抜くことが大切な役割であることを理解して下さい。

 

候補は孤独になるもの

以前の、「選挙の最中、「なんでボランティアの自分たちがこんなに頑張らないといけないの?」という言葉が出たら要注意~選対マネジメント編-その2~」というブログでも書きましたが、候補の行動はたとえ候補が正しいと思っていても、仲間がそうは思わない場合もあります。そして、「なんでボランティアの自分たちがこんなに頑張らないといけないの?」という雰囲気が選対に漂ってしまうこともあります。

本当に、選挙が近づくにつれ、候補は孤独になっていきます。今までは断定口調でものを言っていた候補が、同意を求めるような口調になることもあります。候補自身の批判だけだったものが、候補の仲間や家族の批判までが候補の耳に入ってくることもあります。仲間が集まれば、集まるほど心強くなる部分があると同時に、意思疎通が上手くいかない悪循環に陥ると、反対に、「これだけ多くの人がいるのに自分は理解されていない・・・」という孤独を感じてしまうという矛盾も生じます。

候補の心の拠り所になるのも仲間の役割

こういった状況は映画製作の現場にも生じることであり、長年ジブリでプロデュサーをつとめた鈴木氏はプロデュサーのあり方を、高畑勲氏とのやりとりで下記のように記しています。

あとで、高畑さんに聞いたことがあります。「プロデューサーでいちばん大事なことは何ですか?」。高畑さんの答えは明快でした。「それは簡単です。監督の味方になることです」。要するに、監督というのは孤独な作業だ。いろんなスタッフが支えるとはいっても、孤独な闘いである。いろいろな圧力がかかってくるのだから、プロデューサーは何よりもまず、作り手の味方であらねばいけない、というわけです。これには納得させられました。(p42)

この鈴木氏の語ったことと選挙時の候補の立ち位置はとても似ているように思い、選対をマネジメントする上でも頭に入れておくべきだと感じました。

議員になることは、手段だと思います。しかし、選挙時は、議員になることを目的において、どういうやり方をすれば議員になれるかという手段の議論をするべきだと思います。選挙時の気持ちが弱くなっているときに、「お前が議員になっても無駄だ」というような目的の部分を批判されると、精神的につらいものがあります。だからこそ近くにいる仲間の方たちは、「お前が議員になること(目的)はみんな応援している!だから、どうやったらなれるか、やり方(手段)をみんなで考えていこう!」と候補の力になってあげて下さい。それが選対に良い雰囲気を生み、最後まで走り続けられる選対になると思います。